強い企業をつくる!「インナーブランディング」 ~現場の心に火をつけるために~
【第2回】 現場の心に火をつける
■人はどんな時に心に火がつくのか
「あなたは、何のために働いていますか・・・」 この問いに即答できる方がどのくらいいるでしょうか。自分の生きる意味や自分がしている仕事の意義、自分の影響力や社会とのつながり。大切だとわかっているけれど、つい目の前の生活や日々の仕事に追われ、考えることすら忘れてしまいます。
人が本当の意味でやる気を感じ、自発性を持って動くために、この「何のために」という「使命感」にヒントがあるのではないかと日々の現場から感じています。
江戸時代中期、若干17歳で名門上杉家の藩主の座についた鷹山は、冷めきっていた藩民に「使命感」を与えることで、一人ひとりの心に火種を植えて大改革を行いました。サウスウエスト航空は、「乗客に空の旅を楽しんでもらう」という「使命感」を掲げ、30年以上も毎年利益を上げ続けています。
今世界で注目されているシアトルの「パーク・プレイス魚市場」も以前は魚市場というきつい業務のために組織全体に活気がなくバラバラであった。そんなスタッフの意識を蘇らせたのも「世界一の魚市場になる」という「使命感」でした。
取り組み内容やその時の環境や状況は全く関係なく、ただその奥にある本質的なものに人の心は動くことがわかります。
これは、マズローの欲求段階説(図1参照)、フレデリックハーズバーグの二要因理論(図2参照)を見てもわかります。
■ 「使命感」と「らしさ」
「使命感」と今回のテーマインナーブランディングで欠かせないキーワード「らしさ」の違いは、企業によって様々です。「企業理念」と「サービスコンセプト」と区別する企業もあれば、「フィロソフィ」と「行動指針」と区別する企業もあります。「使命感」は大きな原動力になりますが、日々の行動などで体現をするには、多少曖昧になってしまう部分があります。
現場のスタッフ一人ひとりがしっかりと理解でき、きちんと実践につながる価値観や指針を具体的に表すものが「らしさ」とここでは考えていきたいと思っています。(図3参照)
「使命感」を持って生きることが「らしさ」を磨きあげ、「らしさ」を深堀りしていくことで「使命感」にたどり着くこともあります。この二つのことを常に意識しながら目の前のことに取り組むことに大きな意義があると思っています。
■ インサイドアウトでは、使命感を与えればすべてうまくいくのかということですが、使命感を与えることなど簡単にできないものです。トップからの一方的なアプローチでは一時的に浸透させることができたとしても、継続しづらい状態になることが多いです。
それは、人は外発的な理由では、制限された力しか発揮できない傾向にあり、人が本当に力を発揮するには、自分の中からわきあがる内発的な動機や理由が必要だからです。
そのためには、一人ひとりのもつ才能や可能性を引き出しながら、組織全体で情報や意見を共有し、 チームとしての力を高めていくことが大切だと思っています。
社員のベクトルを合わせ、組織力を高めるには トップダウン方式も欠かせないのですが、中長期的に見ればインサイド・アウト 的アプローチは欠かせません。 トップと現場、その両方をつないでいくのが、インナーブランディングの大きな役割です。(図4参照)
~ 次回から、インナーブランディングの具体的手法を一緒に考えていきたいと思います。
- 浜本 亜実
- 株式会社Humanext
- 代表取締役
シャネル株式会社で長年培った経験を活かし、外資系ブランド・ホテルなど数々のPRを手掛ける。その後、森ビル株式会社に入社し、六本木ヒルズ(複合施設)の立ち上げに参画。施設全体のサービスブランディング、主に働くスタッフ数千名の育成設計に携わる。
2005年株式会社Humanext設立。現在は、教育コンサルティング、サービスプロデュース事業を展開し、「人づくり」の観点から、企業ブランド構築のサポートを行う。
各企業や大学などで講演・研修多数実施。人材の育成1万名以上、その他商業施設をはじめ小売業など200社以上のブランディング構築のためのコンサルティングを実施。
■株式会社Humanextホームページ





