
株式会社ビジョン
代表取締役社長
佐野 健一
情報通信やオフィスに関わる商材・サービスを用いて、お客様の問題解決を実現。通信インフラ事業/モバイル通信事業/オフィスソリューション事業/インターネットメディア事業/Web戦略事業。
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独自の組織戦略で、「社員の定着率が高い営業会社」に
恐縮ながら、通信系商材の販売会社には「イケイケの営業スタイル」のイメージが強くあります。団体戦よりは個人戦、そしてスピードに乗れず脱落していく人が多そうな感じも・・・そんな私の先入観を否定するのが、今回のインタビューでお邪魔した株式会社ビジョンの佐野健一社長です。「実は当社って殆ど人が辞めないんですよ。そして集団成功主義なんです」
「確かに以前は、イケイケの部分も人が定着しにくい点があったところも否定できません。しかしここ数年の間に経営スタイルを大きく変革しました。そして昨年からは組織のあり方も見直し、より可能性を持った企業に育ちつつあるのを感じています」
その結果が「社員の離職が減った」という事実。さらに4年続けて連続増収という具体的な成果。そんな佐野氏が目指してきたもの、そして今までの実際の取組みを、ここで伺ってみたいと思います。それは、多くの企業で懸案である「営業という組織のあり方」のヒントになる内容かもしれません。
形がある商品はニーズが顕在しているもの。それはお客様自身が選ぶ時代
会社の出発点は静岡から。見ず知らずの町でたった一人で起こした会社は、電気通信サービスの加入取次業務を行うものでした。その後、OA機器販売、インターネット事業などと業容を広げ、さらに全国に拠点網を構築していきます。
立上げ当時はやはり「個々の営業力」で勝負する時代。OA機器や通信系事業者の多くに見られたように、テレアポや飛込みなど、「プッシュ型」の営業スタイルで事業を展開してきました。
しかし、その「従来型の限界」も徐々に感じていきます。というよりも佐野社長自身かなり以前から、力任せの営業ではなくて、もっと組織立った経営スタイルを志向していた感じがあります。
ただその切り替えのタイミングがいつが適正なのかを判断していたようです。
そして今から数年ほど前から、「団体戦」要素の強い営業スタイルに組織を切り替えていきました。それは一言でいうと、「会社の組織力で見込み客情報を引っ張ってくる」仕組みづくりです。その一つがインターネットによるインバウンド戦略。例えば法人向け固定電話加入権サービスサイトである「電話加入権.com」からは、何と月間で600件以上の成約が生まれていますが、このようなインターネットを活用し顧客ニーズを吸い上げるものです。
もう一方は、コールセンターを利用してのアウトバウンド型営業。こちらは攻めのスタイルでのニーズの発掘です。
この二つの組み合わせに対して、佐野社長はこのように持論を展開します。
「顕在化されているニーズ、例えば電話加入権の例などがそうですよね。こういうものはお客様自ら情報を探していますから、無差別的な攻めの営業スタイルをとるのは非効率です。それよりもお客様の疑問や要望に応えた情報を発信することと、それをより多くの人に届く仕組みを作ることが大切なんです」
すなわち、顕在化ニーズはお客様に選んでもらう時代であり、こちらからプッシュして買ってもらう時代ではないということです。
「一方で、まだニーズが明確になっていないものもたくさんあります。みんなが良く知っている分野ではなく、新しい可能性を持った商品や今までの生活習慣にないサービスは、お客様を啓蒙しなくてはいけない部分がありますよね。それはプッシュ型のスタイルが必要です」
そしてどちらのスタイルも、同社の見込み顧客の発掘は、営業マンの資質に負うのではなく組織ぐるみで戦略的に取り組んでいるのが大きなポイントです。
営業スキルの向上はより多くの営業経験を積むこと。だからこそ組織的な支援が重要
しかし、いわゆる営業会社は「一匹狼」的な営業マンが多く、こういう組織的な営業は受け入れられにくい風土が在るような気がしますが・・・そういう懸念に対しても、「実際はそうでもないですよ」というのが佐野社長の回答でした。確かにこのような営業スタイルの切り替えにより、営業の中心幹部で退社した方もいられるようです。しかし多くはこの変化に好意的だったといいます。
「だって、新しいやり方にした方がみんなが得をするわけですから(笑)」
いま同社では、前述したようなプル型およびプッシュ型の新規開拓チームから上がってくる見込み客が、営業マンひとり平均1ヶ月に60件くらい在るそうです。しかし従来型の個人単位でのTELアポ営業ではとても1日3件もの優良見込み客は捕まえられません。
それだけ効果的に営業ができることで、実績は上がって給料にも反映されるし、営業上の余分なストレスも減る。確かに、働く側にとっては良いことづくめです。
そしてここには、「営業のスキルを上げるためには、より多くの場数を積み実績を上げること」という佐野氏の持論も反映されています。「各営業マンがより多くの成約体験を積むことによって、個々のスキルは確実に向上し、成長スピードが加速することになります。それは会社にとっても社員それぞれにとっても重要なことで、だからこそ営業を効果的にバックアップする仕組みを作りたかったんです」、こう佐野氏は力説します。
「集団成功主義」がより高いレベルで機能するために
ただこのように佐野氏が思い描く組織であるためには、人の入り口の部分、すなわち「どんな人を採るか」とも連動する必要があります。そのため同社では独自の視点で資質を見極めて人材を採用しているとのことです。それは「ベンチャー志向が強く実力主義に憧れるものの、個人主義には走らない」、そんなタイプでしょうか。
さらに、集団成功主義を機能させるために、営業マン相互の顧客情報の共有を推進していくことを制度として積極的にバックアップしています。それが社内顧客紹介制度です。これは、自らが担当している顧客が別の部署の商材に関心をを持ち、その担当を紹介し、それが実績に結びついた際に、紹介した側の営業マンの実績にも反映されるというものです。
もちろん他にもこのような仕組みを取り入れている企業は増えていますが、同社の特徴は、紹介をした側も受けた側も、それぞれ満額のインセンティブを貰えるというところです。自分でクロージングしなくても紹介しただけで同様の額をもらえるわけですから、誰もがどんどん紹介したくなろうというものです。
多くはこのような場合、一定のインセンティブを二人で分け合うパターンが一般的だと思います。しかし佐野氏の言葉を借りるとこうなります。
「増えた一人分のインセンティブと、ゼロから見込み客を開拓するためにかかるコストとどちらが高いと思います?」
新規顧客開拓のためのコストを考えたら、「ダブルアカウント」でインセンティブを支払っても充分お釣りがくる。それは当然社員も喜ぶことだし、社内の意気も上がる。非常に単純な制度ですが、とても分かりやすく成果を生み出しています。
そういうちょっとした視点の切り替えが、同社の営業力をさらに向上させることになっているのです。
そして佐野氏は、自社の成功方程式を仕組み化して他社にもヨコ展開できるレベルにまで持っていきたい構想を持っています。
今回のインタビューの中でも、「セールスそのものを革新的に変えたい」という言葉が出てきましたが、ビジョン自らが新しいルールとなりうる会社にしたい想いは相当強くありそうです。
そしてそれは事業スタイルの方向性にも感じ取られます。
同社がいままでに積み重ねてきた顧客数はすでに14万社。そして現在もそのうち9万社との取引が続き、さらに毎月2000社ずつ新規のお客様が増加しています。
この圧倒的ボリュームは、自らが求める新しい商材やサービスを既存サプライヤーに提案できる力に転化します。さらに自らも新しいソリューションの創り手になることも可能です。実際にそういう動きも幾つもスタートしているようで、今後また新たな可能性をさまざまな形で見せてくれそうです。







