ここでは、医療保険と介護保険の併用について記述していきます。
・医療保険 介護保険 併用
原則、「医療保険と介護保険の併用は出来ない」こととなっています(介護保険給付を他の医療保険給付より優先することになっている)が、実はそうでもありません。
これは、現行の制度間において移行途中であるものの存在(両保険において重複しているものがある)と、条件により対象となる保険が異なることが原因です。
これらの要因によって利用者および医療機関の現場においても混乱が生じているのが現状です。
特に「介護保険による訪問看護」と「医療保険による訪問看護」の間にある混乱
および「両保険に存在するリハビリテーションに関する混乱」は最も多い問題かと思います。
・現行制度における各保険適用対象
・介護保険:要介護認定を受けている被保険者
・医療保険:要介護認定を受けていない介護保険被保険者、急性憎悪時・難病等の患者および精神疾患を患っている患者
基本的には上記のような区分けはされています。
・医療保険対象となる場合(介護保険の優位性が働かない場合)
1.要介護認定で「自立」と判定された場合
この場合、介護保険による訪問介護サービスが受けられません。しかし、医療保険による訪問看護を受けることが出来ます。
2.医師による助言に基づく利用
主治医は介護保険・医療保険どちらの補助を受けたほうが良いか選択する権利を有しています。
病状・症状によりどちらの保険を利用したほうが良いか主治医と相談し、よりよい保険サービスを受けることが出来ます。
・併用可能なパターン
1.介護保険サービスによる訪問看護利用者が急性憎悪等の事由により医療保険サービスによる訪問看護サービスを受ける場合
前者は介護保険給付対象で、後者は医療保険給付対象ですが介護保険サービスによる訪問看護に関する指示書とは別に、急性憎悪等に関する指示書を主治医より発行してもらった場合は、両保険の訪問看護サービスを受けることが出来ます。
2.リハビリテーション
介護保険によるリハビリテーションを受けている場合でも、医療保険によるリハビリテーションを受けることが出来ます。
※原則不可ですが、一旦、介護保険のリハビリテーションを行ったが、再度、医療保険のリハビリテーションを行う場合、同一月については併用不可だが、介護保険のリハビリテーションと医療保険のリハビリテーションの実施月が異なる場合は、併用可能となります。
また、必要な場合には、診療録・診療報酬明細書に「医療保険における疾患別リハビリテーションが終了する日」を記載した場合、終了日前の1月間に限り、同一の疾患等について介護保険におけるリハビリテーションを行った日以外の日に医療保険におけるリハビリテーションも受けられることになっています。
※ここでいうリハビリテーションとは、「(予防介護)通所リハビリテーション」・「(予防介護)訪問リハビリテーション」を指します。
なお、訪問看護ステーションにおいて行う「理学療法士等による訪問看護」はこの中には含まれません。
3.難病患者の場合
難病患者の場合は、医療保険によるリハビリテーションと介護保険によるリハビリテーションの併用が可能となっています。